不動產解決方案業務Solution
敝公司不動產創業以來,至今經手收購各類不動產,長年下來累積know how 經驗。
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聯絡我們再建築不可
【定義】再建築不可とは?
①既存建物を解体し更地にした場合、新たに建物を建築することが出来ない物件
②既存建物に一定規模以上(建築確認申請を要する規模)の増改築を行えない物件
再建築不可となる主な原因
◎建築基準法で定められた接道義務(※1)を満たしていない
〇既存不適格物件(※2)であり、既存建物と同一規模の建物が建築できない
〇敷地上空に17万ボルト以上の高圧線が通っている
〇市街化調整区域(※3)内にあり、建物の建築に様々な制限がある
※1 建物を建築する場合は、その敷地が幅員4m以上の道路(建築基準法上の道路)に、2m以上接道している必要がある。
※2 建物建築当時の法律には適合していたものの、現行の法律に照らせば適合していない物件。建築基準法に限らず、これまで様々な法律や条例が時代の変遷とともに制定・改正され続けており、このような状況の物件は多く存在する。
※3 市街化調整区域とは、都市計画法で市街化を抑制すべき区域とされるエリアのこと。田園地帯など自然が多い区域が指定されており、新たな建物の建築や増築を抑制するために様々な制限が設けられている。
【補足】なぜ接道義務があるのか
主な理由は、災害等の緊急時に前面の道路幅員や間口が狭いことが原因で、緊急車両(救急車、消防車等)が目的地まで到達できない事態を防ぐためです。つまり住民の安全確保のために必要なルールとして規定されているのです。建築基準法施行が昭和25年であることから、それ以前の建物については、この接道義務に適合していない状況のまま現在に至るケースも少なくありません。
狭小地・変形地
【定義】①狭小地とは?
明確な広さの定義はなく、一般的に15坪~20坪(50㎡~65㎡)以下の土地を「狭小地」と呼ぶことが多い。土地面積が小さく、その上に建物が建築されていれば「狭小住宅」となります。
【定義】②変形地とは?
正方形や長方形(長辺・短辺の差が少ない)整形地(形の綺麗な土地)ではない、三角形、五角形等の多角の形や、極端に長細いような「ウナギの寝床」や、崖の途中や斜面の敷地、旗竿地と呼ばれる間口の狭い土地を合わせて「変形地」と呼びます。
【補足知識】単語の意味
間口…土地や建物の正面(接道から見た際)の幅を指す。奥行の対義語であり、角地などでは主要な道路に面している側を指し示す。
江戸時代は間口税という税金があり、家の間口(玄関)が広ければ広いほど課税され、狭いと安くなるものであり、下部記載のウナギの寝床や旗竿地は節税するための手段とされていた。
ウナギの寝床…ウナギは隙間が狭く細いところが好みであり、漁の際も竹筒を仕掛けにするような場合があります。そのため、接道間口が狭く長い間取りの部屋を表現する単語として使われています。
旗竿地…細い通路が伸びて道路に接する為、旗に竿が付いているような形状の土地で、竿の部分を通行して道路と出入りする必要がある
【理由】狭小地・変形地の発生理由
販売の過程で発生…購入しやすい面積や、非整形地を切ってしまった場合等
開発によって発生…もともと大きな土地だったが、買収で取り残されてしまった場合等
相続によって発生…遺産分割の際に割合や価格面での合意により発生してしまった場合等
開発道路で発生…都市計画法の開発で道幅を広くした際に、残されてしまった場合等
現在は市区町村が「最低敷地面積」を設定している場合が多い為、意図的な狭小地は生むことが難しい。
【問題点】
- ①住宅ローンを組むことが難しい場合が多い。住宅ローンは基本的に土地面積40㎡以上で床面積が40㎡以上(2021年税制改正により)という規定が存在するため。
- ②間口が狭い為、建築時、解体時には大きな重機を入れることが出来ない、部材の搬入も難しい為、搬入コストがかかる事が多い。
- ③建物の形が整形になりにくい為、通常より柱の数や現地でカットする部材なども多くなり、建築のコストが上がる。
- ④土地の形が特殊な為、土地の有効利用できる面積が少なくなってしまうため、資産価値として低くなる場合が多く、売買の際に周辺相場よりも安い価格になる場合が多い。
造成地
【定義】造成地とは?
宅地以外の土地(丘陵地、傾斜がある土地、竹林や雑木林、田んぼや畑、沼や池)を住宅地にするために土地を形質変化させることを『宅地造成』といいます。また、造成した土地を「造成地」と呼びます。
宅地以外の土地は、土地形状や地盤の弱さ、障害物のせいで造成工事を行わないと、住宅等を建築してはいけない地域にあたります。
主に宅地造成には4種類があります。
- ・斜面の土を切り取る「切土」
- ・斜面に土を盛る「盛土」
- ・土砂の流出を防ぐ「土止め」
- ・土地の強度を上げる「地盤改良」
【補足知識】単語の意味
擁壁…高低差のあるような場所や崖などの斜面からの土砂崩れを防ぐために、コンクリートやブロックを積み重ねた壁状の物。がけ条例というものが各自治体に定められており、崖の部分の所有者が施工を行う必要があります。擁壁の設置は「土止め」にあたり、切土や盛土を行った斜面に施す場合が多い。
切土…地面を削り取って地盤円を低くすること。山地だけではなく、丘陵地も同様に斜面のある土地を切りだす工事であり、切り出したところは地盤が固く安全性は高い。
盛土…谷や田んぼや畑等や斜面や段差の低い土地に、他から持ってきた土を盛って、地面を均一にする工事。別のところから持ってきた土を固めて平らにする為、地盤としてはあまり強くない場合が多い。
【理由and注意点】造成地と擁壁と安全について
造成地は、平地や宅地が少なってきたことを理由に、不動産会社等が森林や農地を購入し、造成工事を行った上で分譲をするケースが多いです。
新しい造成地の場合は、現在の法令に沿って開発行為か行われており、崖崩れ、地滑り、雨水等の水圧に耐えられるように擁壁設置や地盤改良工事を施工しているため、安全性は高くなっています。
過去に造成された土地を購入する際には、施工されている擁壁や地盤が現在の法令に適合しているのか、さらに経年劣化はどの程度進行しているのかなどの確認が必要となりますが、補修工事等をすることにより、安全に住むことも十分に可能です。
昨今の異常気象などにより、地盤が緩んでいる可能性もありますので、調査はより慎重に行う必要があります。検討している物件や、すでに所有している物件の所在地が、各自治体が作成しているハザードマップなどの危険地域として記載されている可能性もありますので、一度チェックをすることをお勧めします。
【問題点】
①擁壁の維持メンテナンスも行う必要がある。「無過失責任」が所有者にあるとされているため、修繕費用を確保しておく必要がある
②売却をしようとした際に、同じ面積でも平地よりは危険の可能性があるという事で価格を下げられてしまう可能性がある
③がけ崩れや土砂災害等が発生しやすい場所という事を理解していないと思わぬ災害にはまる可能性がある。
④切土は地盤が強いが、盛土になっている土地は地震などで地滑りや液状化の可能性が高い為、安全性が低い。
告知事項(心理的瑕疵)
【定義】告知事項とは?
告知事項とは、取引を行う上で、その意思決定に影響を与えるものとして、売主や貸主等が、相手方(契約予定者等)に対し予め伝えるべき事項のことです。
一般に、告知事項を通知された契約予定者は、告知事項を了承し承諾のうえで契約を締結するか、もしくは取引を中止することになります。
もし、告知事項を隠したまま契約を行った場合、告知義務違反となり、契約が解除され損害賠償請求や修繕費用請求を受ける場合もあります。
【補足知識】
瑕疵…判例では実質的な意味を「契約内容に適合しないこと」と解釈しています。
心理的瑕疵…心理的・精神的に悪影響と思われる事項
自殺や他殺、事故、火災歴、迷惑な隣人の存在などが挙げられます。老衰による自然死や病死等は告知事項に該当しないとされています。
物的瑕疵…物理的な欠陥
土地であれば、地盤の歪み・沈下、浸水、土壌汚染や地中埋設物などの存在を把握していれば告知しなければなりません。
建物については、シロアリ、アスベストの使用有無、床下浸水、雨漏りなどが項目として挙げられます。
また、建物が違反建築の場合や増改築をした建物である場合も、当然に告知すべき事項となります。
環境的瑕疵…物件に直接問題はないが、周辺環境に問題がある事を示す。
①近隣に反社会的勢力の事務所がある、構成員(組員等)が居住している
②以前に風俗営業等に利用されていた
③ゴミ屋敷、近隣に嫌悪施設がある
(ゴミ焼却場、火葬場、ガスタンク、下水処理場や工場、危険物取扱や墓地、大気水質土壌汚染となる施設や発煙所や軍事施設など)
④騒音振動問題等の電車やトラック等の大通りに面している。
事故物件…床下の腐食や腐敗、地震や火災での損傷が残るような物件や、事故や事件、自然死や事故死、殺人事件や変死等の人の「死」が関わっているような物件を総じて呼ぶ
契約不適合責任(瑕疵担保責任)…2020年に民法が改正され、それまで瑕疵担保責任とされていたものが、契約不適合責任となった。売主や貸主が、契約の相手方に対し契約内容に適合しないことが判明した場合に負うべき責任のこと。
以前の瑕疵担保責任では、契約締結時には判明していなかった、いわゆる隠れたる瑕疵は免責になっていましたが、契約不適合責任では、隠れていたかどうかは問題とならず、契約の目的に適合しない場合には責任を負うこととなったため、責任を負う範囲が拡大し、買主や借主等が優位となりました。
ただし、宅建業者が売主や貸主となる場合を除いて、契約上の特約で契約不適合責任を免責とすることも可能です。
【理由and注意点】告知義務の一定の基準とは?
告知事項について説明義務が求められる回数や期間、状況等について明確な決まりがありません。
現在のところ、心理的瑕疵については「近隣住民の記憶が薄れるまで説明が必要」と宅建協会が提唱しております。
各物件により状況が異なることから、個別の判断がなされることとなります。インターネット上には「事故物件履歴経歴サイト」なども存在するため、故意に状況を隠すのではなく、しっかりと説明する必要があります。
賃貸などの入居者の回転が速い物件は事件や事故の記憶が薄れやすいと言われておりますが、郊外の住宅地等は近隣関係があまり変わらず、告知義務が数十年も続くとされた判例もあり、慰謝料請求を命じられたケースもあります。また、該当のお部屋での事件事故等しか説明されないケースがほとんどの為、共用部で自殺や事件があった場合も告知義務の判断が難しいものとされております。
担当する不動産業者や、説明すべき状況を売主や貸主等が把握していれば、告知義務が発生すると解釈されています。
〇令和3年5月30日 国土交通省「事故物件告知」指針について
※令和3年6月18日まで一般で意見を募ったうえで正式決定
★賃貸物件(対象部分:居室、ベランダ等の共用部)
告知必要…殺人・自殺・火災・ガス漏れ事故死・原因不明の死亡等
告知不要…漏水・病死・自然死・転落や誤嚥・不慮の事故(特殊清掃を行った場合要告知)
※過去3年以内は告知必要で、3年経過後は告知不要
★売買物件(対象部分:居室、ベランダ等の共用部)
告知必要…殺人・自殺・火災・ガス漏れ事故死・原因不明の死亡等
告知不要…漏水・病死・自然死・転落や誤嚥・不慮の事故(特殊清掃を行った場合要告知)
※売買については、告知不要の期間は当面限定しない
★検討中事項
隣接住戸、前面道路は今後検討し正式決定とする
★対象の事案調査について
必要事項…不動産業者が通常の物件情報収集範囲内で家主や管理業者へ確認を行う
不要事項…周辺住民への聞き取り調査、自発的な調査義務までは行わなくてよい
【問題点】
- ①購入や相続で告知事項がある物件を取得してしまい、取り扱いに困っている。
- ②相場よりも価格が安く魅力的だと思い物件を取得したが、後日、過去の事故や事件の事実を知り、どのような対応をして良いかわからない。
- ③現在所有している物件で告知義務がある事案が発生してしまい、取り扱いに困っている
- ④告知義務に当たらないと思われる事案を知っているが、どう伝えたらよいかわからない。また、契約に際して、告知事項だと思っていなかった事を相手に伝えずに契約をしてしまった。
老朽化した建物
【定義】老朽化した建物とは
- ①経年劣化(※1)等により、建物構造や材料、設備の保安・衛生上危険・有害となる恐れがある建物で、現状のままでは居住や利用が難しく、周囲に迷惑や損害を与える可能性がある建物
- ②旧耐震基準(※2)により建築されており、昨今の異常気象や震度の大きい震災に対して、建物検査や耐震診断の結果、危険性が高いと判断される建物
- ③法定耐用年数として、物件構造と築年数に応じた「資産が利用に耐える年数」を税法で定めておりますが、こちらの基準と実際の老朽化と法定耐用年数が一致するわけではありませんが、基準を過ぎた物件を老朽化した建物と呼ぶ場合がある
【補足知識】
- ※1 時間の経過によって品質が低下する事。手入れを行った上での通常損耗を指し、意図的な破損や通常の使い方ではない用途で利用し破損等をさせて物は経年劣化とならない
- ※2 1981年(昭和56年)5月31日までに建築確認を適用されていた基準。建物の設計において、地震に耐えられる構造基準等を指す。震度5強の揺れで建物が倒壊せず、補修する事で再度利用できる構造基準とされている。新耐震基準では震度6強~7程度でも倒壊しない構造基準
- ※3 民法第400条に定められている事項で、一般的・客観的に要求される程度の注意義務を果たす必要がある。
- ※4 無過失責任とは損害の発生について故意や過失が無くても負わなければならない損害賠償責任
- ※5 空家等対策特別措置法とは2014年(平成26年)11月26日に公布された法律で、行政が空家の所有者等へ「特定空家」に指定しその後指導や助言を行い、場合によって勧告や命令、行政代執行による解体等を行えるようになった法律
【理由and注意点】老朽化した建物と工作物責任
土地の工作物や不動産の所有者は建物を適切に管理する義務があり、他人に損害を与えた場合は工作物の占有者・所有者が賠償責任を負う。(民法第717条)
占有者(賃借人等)は損害防止の為に必要な注意義務を果たしている(善管注意義務(※3)事を立証すれば所有者が無過失責任(※4)を負う事となる。
老朽化により、土地の工作物が劣化し損傷、倒壊などして周囲に損害を与えた場合や、管理を怠り害獣や害虫の温床になった場合に建物の所有者が損害賠償責任を負う形になります。
地震や災害により塀が崩れてしまい、家の前を歩いていた人に損害を与えた場合等にも所有者が損害補填をする必要があります。
また、老朽化した建物が「特定空家(※5)」に指定された場合には固定資産税の優遇措置が適応できず、更地と同様の税金を支払う必要が発生します。行政代執行で解体等されてしまい、解体費用を所有者がすべて支払う必要が発生します。
【問題点】
- ①物件を長期間借りているテナントと入居者がおり、退去してもらい、修繕を行う必要があるが、退去交渉が上手くまとまらない可能性が非常に高く、大規模な修繕を行う事が難しい。
- ②物件が遠方にあり、現地の確認や管理することが難しい場合
- ③所有者が該当物件には住んでおらず、施設やその他親族の居住先へ移動してしまっており、手入れや片付けがされずに放置される場合
- ④直すか(リフォーム)壊すか(解体)を決断が難しい。また、解体してしまった際の税金も上がってしまうため、決断が難しい。
共有持分
【定義】共有持分とは
ある1つの財産や不動産等を所有する際、その権利を1人で所有する「単有」と、複数人で所有する「共有」という形態があります。共有持分とは、複数人で「共有」する場合の、【各人が所有する権利の割合】のことです。
共有関係となった場合、共有者の1人として単独で出来ないことがあるなど、単独所有とは違い一定の制限が生じます。
【補足知識】持分の割合で可能な事
①単独で出来る事
使用=自分で利用
維持=清掃等
管理=占拠者の追い出し等
修繕=破損個所等の原状回復工事
②過半数で出来る事
利用=賃貸物件貸し出し等
活用=リフォームやリノベーション等のバリューアップ
③全員の同意
処分=物件の売却
設定=抵当権等
【理由】どのような場合に共有持分が発生するか
①相続により、相続人(配偶者・子など)で共有する場合
②複数人で出資し不動産を購入する場合
不動産購入資金を夫婦や親子で出資し、その割合に応じて共有する場合
ペアローン等の住宅ローンを利用する場合
このように夫婦や親子など親族間で共有となるケースが多くみられますが、特に相続などで権利移転が行われた場合、親族間での関係性が悪いことが原因で、取得した不動産等の活用や処分について話がまとまらず、いわゆる相続争いに発展してしまうこともあります。所有する持分のみを売却することも可能ですが、さらに権利関係が複雑になりトラブルになることが目に見えていますから、買い手を探すのは相当困難です。もし売却等をする場合には、共有者全員の持分を譲渡することが望ましいと考えられます。
【問題点】
①親族で共有しているが、関係性が非常に悪く協議が整わない
②共有持分所有者の1名が勝手に持分売却を行ってしまい、1棟の売買を行う協議が整わなくなってしまって、物件を処分することが出来なくなってしまう
③相続が繰り返されたことで共有者が増え続け、共有者全員の同意を得ることが困難
④税金の負担や物件収益の分配について、共有者で話がまとまらない
管理組合が機能していない分譲・区分マンション
【定義】分譲、区分マンションの管理組合
分譲、区分のマンションには「管理組合」が当然に存在します。
法令の「区分所有法」※1にて下記内容が定められています。
‘’ 区分所有者は、全員で建物ならびにその敷地および付属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律を定めることにより、集会を開き、規定を定め、および管理者をおくことができる。‘’
区分所有関係が生じた瞬間から「管理組合」は成立して、意思や有無に関わらずに区分所有者は組合構成員になります(賃貸借物件に入居中の入居者は除く)(※2)。
※賃貸の入居者は組合構成員に含みません。あくまで区分所有物件の所有者です。
そのため法律上は、区分所有者が複数となった場合に「管理組合が無い」ことにはならず、「管理組合が機能していない」という状況になります。
【補足知識】
※1 当初は昭和37年に制定され、昭和58年に大改正された。管理組合の当然の成立がなされると定義された。また、区分所有者は組合に拘束され、離脱は出来ないとされている
※2 賃借人はあくまで「占有者」とされる。ただし、建物や施設敷地や付属物を利用するにあたり、区分所有者と同じ義務を負います。管理組合で「意見を述べる事」は出来ますが、「決議」には参加できません。
※3 平成13年8月に成功された法律で、マンションの資産価値を守り、快適な住環境を確保する目的。また、マンション管理業者の義務等を定めている。
【理由and注意点】管理組合の適切な運営
マンション管理適正化法という法律が平成12年に成立し(※3)、管理組合はマンションを適切に管理するように努めることが定められております。
建物は人と同じように老朽化し、経年劣化が進行します。分譲・区分マンションには手入れや修繕、工事を行わなければいけない共用部が多数あり、適正に管理することが不可欠です。保守管理が必要なものとして、防水処理が必要な屋上、外壁、ベランダがあり、ライフラインの供給と排出を行う給排水管等の劣化も注意が必要です。他にもエレベーター等の設備に関する定期点検や交換など、管理しなければならない箇所が多数あります
一戸建て住宅と違い、複数の所有者で構成されるマンションは、管理組合という集団で検討し決議を経て、様々なことを実施することが出来ます。そのため、管理組合がしっかりと機能し活発な活動を行うことにより、マンションの所有者や居住者は快適な生活を行うことが可能となります。管理組合の実態がなく活動が行われないと、マンション自体の資産価値が下がり、生活の質も下がる劣悪なマンションになってしまうため、管理組合が非常に重要な役割を担っています。
【問題点】
①所有者の高齢化により、組合運営が行われず、今後が心配
②長年、理事長を担っていた方が去り、内情を理解し、運営を行える後任がいない
③大規模修繕や建替えが必要な時期に来ている事はわかっているが、所有者の代表となるような具体的に行動を起こす人がいない。
④長期間、管理が適正に行われず、修繕積立金が不足しており建替えや大規模修繕を行う事が難しい状況
⑤管理組合運営がなされず、物件の不具合が多数発生しており、資産である区分所有物件の価値が下がってしまい困っている
近隣住民・隣戸間トラブル(騒音・ペット・悪臭)
【定義】近隣トラブル
近隣住民や隣戸間でのトラブルとして次のようなものが挙げられる。
主に音や臭い、使用スペースなどが原因になることが多い。
・生活音や騒音
→音トラブルで、泣き声や足音、洗濯機や掃除機、テレビやオーディオ等
・ペットの飼育、マナー
→鳴き声や足音、毛の処理、糞や尿等の処理、躾等
・喫煙マナー
→指定場所以外での喫煙やバルコニー、エントランス等の共用部での喫煙
・ゴミ出し、分別
→指定時間外にゴミを捨てる、分別せずに回収されない、他人に分別させる
・汚部屋・ゴミ屋敷
→バルコニーにゴミ袋の山がある、ドアの前での悪臭、害虫や害獣が見られる
・玄関前と廊下
→廊下への荷物の設置、自転車やベビーカー等をドア前に放置
・駐車場、駐輪場の利用方法
→所定外のところへ駐車、友人の来訪で指定以外の場所へ駐輪、来客向け箇所を占拠
【理由and注意点】
・トラブルが発生してしまった際の相談先
①管理会社
トラブルの原因が何にしろ、⑴いつ、もしくはどれくらいの期間、(2)どこから、(3)どんな状況なのか等を客観的に伝え対応してもらう。
②近隣住民
近隣に相談し被害状況を確認することで共通認識として問題を明確にする。
③自治体の生活課(役所)等
市役所や区役所、町役場等の公的機関に相談する。暮らしに関することの為、どんな事が可能なのか、または専門家を紹介して頂ける場合もある
④弁護士等の専門家
当事者間で解決が出来ない場合や協議が進まない場合などは、専門家に相談する。無料相談や、法テラス等の窓口もあるが、多少の費用が掛かってしまう場合もある。
⑤警察
身の危険を感じる場合や、管理会社から警察相談を進められた場合は連絡をする。
・受忍限度とは
簡単に言えば「社会生活を営む上で、我慢すべき限度」のことです。言い換えれば「受忍限度を超えない程度の問題は我慢しなければならない」ということも出来ます。
民法第709条には不法行為に関して「故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と規定されています。ある被害やトラブルの解消を求める場合、感覚値ではなく客観的な被害状況を記録することも重要です(具体例:騒音のデシベル数、悪臭の臭気指数など)。公法上の基準として「生活環境の保全などに関する条例」により具体的な数値が設定されていますので、どのような被害がどの程度続いているのか、録音や録画を行うことで、数値として被害を示すことが可能になります。実際に被害を受けた場合には、それが受忍限度を超える状況なのかどうか判断し対応することも必要です。
被害状況記録の具体例
⑴具体的な被害の内容(例:騒音)
⑵性質(例:工事等の連続した低音)
⑶発生頻度や時間帯(例:夜間12時~早朝4時まで、1時間に20分程度継続的に)
⑷継続期間(例:2ヶ月間毎晩、土日を除き)
【問題点】
①上階からの足音がうるさく、とても気になる。生活時間帯が異なりイライラが溜まっている。どうにかしてほしい
②ペット飼育が可能なマンションに居住しているが、ある居住者がペットの躾をしておらず、飼育状況も悪いため悪臭が酷く、鳴き声もうるさい。
③共用廊下にまでゴミのような荷物が積み上がり、部屋からは異臭がしており気分が悪い。退去や撤去してもらう事は出来ないのか。
④お隣の庭に植えている木がしっかりと手入れされておらず、枝や根が境界線を越境している。さらに伸びた根が原因で境界ブロックが傾いてしまっており困っている。
入居者とのトラブル
入居者とのトラブルとは
オーナーと入居者との間で代表的なトラブルが4つあります
- 1. 入居前(申込とお部屋確保)
- 2. 生活中のトラブル(水漏れ・設備故障・騒音・近隣住民)
- 3. お金関係(家賃の未納と遅延)
- 4. 退去時(敷金・清掃・修繕)
どれも大きな問題で、一人の入居者のせいで、他の部屋に住んでいる方が退去する可能性や、近隣から大きなクレームを言われてしまう事があります。
また、家賃が入らないことには返済に困ってしまう可能性もあります。
解決策のご提案
「1.」きめ細かい対応をしてくれる管理会社へ変更or管理会社の導入を行う オーナーの方がすべての対応することは、非常に時間も費用も掛かってしまいます。
ですが、管理会社はいろいろなトラブルを解決したノウハウや、マニュアルがそろっているため、 トラブルに対応することが可能です。
ですが、「きめ細かい対応をしてくれる管理会社」でなければいけません。
連絡一つとっても「人対人」のやり取りになりますので、家賃未納の催促も、修繕一つとっても、入居者様とオーナー様をしっかりと繋げる管理会社を選ぶようにすると、トラブルが解決していきます。
借地権と底地権
【定義】借地権と底地権とは
・借地権
借地権とは建物の所有を目的とする土地賃借権又は、地上権であり、「借地借家法」(※1)の概念です。
地上権とは他人の所有する土地において工作物や竹林を所有するために土地を使用することが可能な「物権」であり、賃借権とは契約に基づき借りた人が土地を使用できる「債権」になり、一般的に借地権といわれると「土地賃借権」の事を指すことが多いです。
「物権」… 物に対して直接的に支配可能(例:トンネル、地下鉄、モノレール、太陽光発電の土地利用等の付設の際)
売買等を行う際には地主の許可は不要
「債権」… 特定の人に対して一定の行為請求が可能な権利(例:一般的な土地賃貸借契約)地主の承諾が必要
地上権はとても強い権利になるため、地主(土地を貸す側)もあまり設定をしません。 賃借権は当事者間で定めたことが原則となり、貸した人と借りた人のみに有効で第三者には影響を与えません。そのため、地主が土地を貸す際は「土地賃借権」にて契約を行う事がほとんどです。
・底地権
底地とは上記の借地権等の賃借権、地上権等の権利が付いている土地になります。
土地の所有者は地主となりますが、その土地を借りて(借地)建物を建てて住んでいる方は借地人となるため、借地権者(借地人)を無視して勝手に土地を別の利用をすることは出来ません。(例:建物を勝手に解体して更地にしてしまう等)
貸した土地は「底地+借地」=「所有権」というい形になるため、どちらか一方だけの権利しか持っていない場合は権利制限がかかりますし、価値も下がった形になります。
そのため、借地権と底地権は「表裏一体の関係」といえます。
【補足知識】
※1 平成4年8月1日に施工され、これ以降の契約を「新法」以前の契約を「旧法」と示す
※2 非堅固建物…木造、軽量鉄骨造(プレハブ、ヘーベル)※多くの裁判で非堅固と判断)、スチールハウス等
※3 堅固建物…石造、土蔵、煉瓦造、重量鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造
※4 固定資産税と都市計画税をまとめて略した用語、納税通知書に記載されており、一緒のタイミングで支払い
【理由and注意点】借地法の種類と税金について
借地権とは、土地を所有している他人から「建物を所有する目的で土地を借り、建物を建築する事」が出来る権利になります。
そのため、駐車場のように建物が無い状態で土地を貸す事は借地権の範囲には入りません。
借地権にもいくつか種類があり、大きく分けて3つに分類されます。
「旧法借地法」…平成4年に8月1日以前に締結された「借地契約」であり、更新契約を続けていれば、旧法が適用されます。借主の権利が強く、問題なく更新をし、建物がしっかりとしていれば「半永久的」に該当の土地を利用することが可能です。
※正当事由を元に契約更新拒絶等をすることは可能
「普通借地権」…平成4年8月1日以降に新しく締結された契約は「新法」と呼ばれる場合が多く、旧法と明確に違う点としては、「非堅固建物」(※2)と「堅固建物」(※3)へ設定されていた期間を撤廃し、一律で初回は30年以上、2回目の更新は20年以上、3回目の更新は10年以上という契約期間設定を行い、貸主(地主、土地所有者)の権利保護を強めた点です。
※正当事由を元に契約更新拒絶等をすることは可能
「定期借地権」…上記の借地権は「更新」を行う事を認めておりますが、定期借地権については、更新契約は行わずに契約を終わらせることが出来、貸主が土地を活用しやすくなった法律になります。
こちらの定期借地権にはいくつか分類があります。
一般定期借地権…50年以上の期間を設定して契約可能。期間の満了時には必ず建物を取り壊して土地を返還する必要がある契約
事業用定期借地権…事業の為に土地を貸す必要があり、10年以上50年未満で年数を設定し、期間満了時には土地を更地にして返還する必要がある契約
建物譲渡特約付き借地権…通常の30年間以上の契約ではなく、更新を行わず、満了時には建物を貸主が買い取り、借地契約ではなくなる契約。
・借地と税金
〇地主側
土地は更地や何も建物が無いと「どんな事にも利用可能」ということで、高額な税金がかかってしまいます。ですが、家などの建物が建っている場合は減税の対象となります。
また、土地を貸していれば「地代・承諾料・更新料」等の収入が入ってきます。
〇借主側
所有権の土地より安く土地を用意し、自宅等を建築する権利を手に入れることが出来ます。土地の所有権であれば毎年支払う必要がある固都税(※4)を地主が支払う形になり、節約が可能です。
【問題点】
地主側
①土地の税金等が値上がりし、正当事由を伝えた上で地代の値上げをお願いしたが、何を話しても納得してくれない
②自宅建築の用途ということで、土地を貸したが、実は賃貸併用住宅を建築していた。契約外という事で解除や地代の値上げをお願いしたが、受け入れてくれない
③借地の更新時期が来たので、更新料をお願いしたところ、当初貸していた方から相続されており、関係性がわかっておらず、費用について揉めている
④底地の売却を借地人から希望されたが、金額面で折り合いが付かない
⑤借地上の建物をなんの連絡もなく、大規模な増改築している。承諾をしてから着手してほしいと伝えたが、勝手に工事が行われている
借主側
①相続した借地に自宅を建築しようとしたが、地主が許可をしてくれず困っている。住宅ローンを借りようしているが、借地に対する担保評価が低く、NGが出ている。
②建物の建替え、リフォーム、増改築の承諾交渉をしているが、とても高い費用を請求され、修繕を行いたくても出来ない。
③地代の値上げを告げられ、値上げに応じない場合は即刻更地にして立退けと言われてしまった。
④底地を売却されてしまい、新しい地主との関係が非常に悪くなってしまった。
不動産の相続
【定義】相続とは
亡くなった方は「財産」を持っています。まずはこの「財産」を「だれが、どれくらい持つ権利があるのか」を確定する必要があります。
この財産の事を「遺産」と呼びますが、決してプラスだけではなくマイナスの財産も遺産として相続を行うのか確定する必要があります。
- ・ 預貯金や現金
- ・ 株式、債券等の有価証券
- ・ 生命保険等
- ・ 不動産、自宅
- ・ 会員権
- ・ 美術品や貴金属等の換金可能な者
- ・借金や貸付金
上記の「遺産」を「法定相続人」(※1)と呼ばれる親族や血縁関係がある方、遺言書(※2)へ記載された人に分ける事を指します。
〇相続の種類について
相続について3つの方法と手段があります。
※相続は自分に相続があることを「知ってから3ヶ月以内」に家庭裁判所で手続きをする必要があります。
単純承認…相続される財債をすべて(プラス部分もマイナス部分も)引継ぎ、取得する方法。相続放棄や限定承認を行わない場合は、単純承認したものとみなされる。
限定承認…財産のマイナス部分(債務)が不明瞭でどれくらいの量があるかわからない場合に取得できるプラスの財産分の範囲でマイナス部分の債務を受け継ぐ方法。必要以上に多くの債務を抱えない状態で、形見等を取得できる可能性があります。(※3)
相続放棄…法定相続人がプラスの財産、マイナスの財産すべてを一切引き受けずに放棄する事。放棄者が初めからいなかったものとして算出され分配される。
〇共有持分について(例:実家等の不動産を相続する場合)
【補足知識】
※1 法定相続人…法定相続人とは、民法で定められた相続人のことをいいます。相続させる遺産を持っている方を「被相続人」といいます。
※2 民法に定められた形で3種類あり、正式な形をとっていないと、遺言書とみなされない。また、開封等についても制限がある。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言
※3 限定承認は共同相続人(一緒に不動産を取得する方)全員の同意が必要
【理由and注意点】不動産の相続
不動産の相続では大きく2つの問題点が上がります。
・相続する不動産の名義を「誰が」「どのような形」にするか?
・相続した不動産を「誰が」「どのように」扱うか?
誰が「所有」をし、誰が「利用や活用」を行うかを決める必要があります。
前提として、亡くなった方がどのような不動産を持っていたか調査を行います。
※登記簿謄本を取得し、所有している不動産に関する情報を集める必要があります。
不動産は大きなお金になりえるものですので、実際の活用状況や同居している方の状況、維持管理方法や相続する側の状況に応じて判断していく必要があり、心情や状況等で大きなトラブルに繋がることがあります。
①相続する不動産の名義をどのような形にするか
名義の有無で税金が大きく変わります。不動産を取得したという扱いになりますので、「相続税」も発生します。名義の変更は勝手に行われるのではなく、司法書士に依頼をして相続登記する必要があります。
②相続した不動産をどのように扱うか
配偶者の方がそのまま問題なく住む事や、相続した方が「維持管理」を行えれば良いですが、相続した方が遠方居住や配偶者の方が施設に入っており、居住者がいない不動産等になってしまうと「空家問題」等に発展することがあります。
不動産は住んで利用をしなければ加速度的に劣化し、悪くなってしまうため、どのように利用又は処分等をするか決める必要があります。
【問題点】
①遺産分割でトラブルが発生し、裁判中になってしまった
②平等に分割をしようとし、トラブルになってしまった
③金銭は上手く分割できたが、誰が不動産を相続するかで考え方が違いトラブルになった
④遺言書が自筆証書で内容が整っていなかった。また全く知りえなかった方が遺言書に記載されており、どのようにするか揉めている。
違反建築物と既存不適格建物
【定義】違反建築物と既存不適格建物
★違反建築物とは
建物を建築するときのルール
新たに建物を建築する際には、まず、どこにどんな建物を建てるのか記載された建築確認申請書を役所に提出し、その許可を得ます。
当然、確認申請の内容が建築基準法などをクリアしていなければ許可は下りません。そして建物が完成すると、その建物が確認申請通りにきちんと建てられているか検査を受けることになっています。
検査をクリアすると検査済証が発行され、その建物が法律を守って建てられたという証になります。
違反建築物となる建物
例①:確認申請どおりに建物を建築せず、検査済証を取得していない建物
例②:建物を建築した後に、敷地の一部を売却してしまっている場合
例③:許可を要する規模の増・改築を無断で行った建物
違反建築物への対応
特定行政庁(※1)は、違反建築物に該当する建物に対して是正命令として、取り壊し、改築、修繕、使用禁止等を指示することが可能です。場合によっては、違反事実が公示(※2)されることもあり得ます。
★既存不適格建物とは
建築当時は、法令を守って建築された建物であったものの、その後の法改正などにより現在の法律には適合しなくなった建物のこと
建築基準法には「法制定以前から存在していた建築物は当該条文を適用しない」と定められており、当時既に建築済みだった建物や建築中の建物については、違反建築物として扱わないと決められています。
既存不適格とされる建物
例①:都市計画の見直しによって指定容積率や建蔽率が変更となり、建物の容積率が超過している状態になってしまった建物
例②:1981年以前に建てられた「旧耐震基準」建物
例③:都市計画事業等で敷地の一部を収用されたことにより、法令に適さなくなった建物
【補足知識】
※1 建築主事を置く地方公共団体の長であり、建築確認申請や違反建築物是正命令等の建築全般を司る行政機関
※2 公衆が知ることが出来るように情報を開示する事。違反事実を公衆にわかる形で周知を行う事
【理由and注意点】違反建築物と既存不適格のリスクについて
違反建築物
所有者責任…利用者や入居者の安全確保が出来ないため、事故や事件が起こった際には物件を持っているだけで大きな責任を問われる可能性があります。
行政指導…行政によって使用禁止や移転、工事改修を指導されることがあり、場合によっては代執行や、工事停止の指導の可能性もあります。
融 資…担保としての価値が低いと判断されやすく審査が厳しい傾向にあります。審査を通過したとしても高金利での融資となるのが通常で、多大な自己資金や別担保提供の条件が付いたりします。そもそも、これらの物件を融資対象として取扱いしない金融機関も多くあります。
売却困難…買い手が付きにくく、流動性が低いことに加え、融資も難しい為、希望の価格では売却ができない場合があります。
既存不適格建物の事例
同規模再建築不可…過去の法令で許可された建蔽率と容積率が見直されている場合、建替え新築を行う際には同規模の物件を建築することが出来ません。
担保評価…違反建築物と比較すれば、取扱いが可能となる金融機関は多くなりますが、やはり担保としての評価は低くなります。ある程度の建築年数が経過している物件が多いこともあり、融資を受けるのは簡単ではありません。
【問題点】
①購入を希望している中古物件が違反建築物で、銀行からローン承認が難しいと言われた
②相続した物件が違反建築物で売却が出来ないと言われたが何とかしたい
③増築を行ったが、登記をしていなかった。どうすればよいかわからない
④違反建築物件が安かったため購入し、賃貸物件で出そうと考えたが、天災等で被災した場合に、所有者責任が非常に重いと聞いて驚いている
法定点検(賃貸アパート/マンション)
【定義】法定点検とは?
賃貸物件の運営、特に一棟の建物を所有し運営する場合、各種の法律に則り建物や設備について定期的な点検・整備を実施し、その結果を監督官庁に報告しなければなりません。
これらは主に建物入居者の安全確保を目的としており、「法定点検」と呼ばれます。
この「法定点検」を実施せず運営を続けていると、不法行為責任を問われてしまう可能性もあります。
建物の種類や設置設備により、必要な点検は異なります。
①消防設備点検(消防法) … 3年に1回所轄消防署へ報告
②貯水槽、簡易専用水道検査(水道法) … 1年に1回登録業者や指定機関の検査
③浄化槽(浄化槽法) … 1年に1回保守点検、指定機関により実施
④給水ポンプ(自治体条例) … 自治体により規定が異なる
⑤建物設備点検(建築基準法) … 特定行政庁により規定が異なる
⑥特定建築設備定期検査(建築基準法) … 3年に1回特定行政庁へ報告(該当物件)
⑦自家用電気工作物点検(電気事業法) … 自治体により規定が異なる
⑧環境衛生管理(建築物衛生法) … 衛生環境の維持管理監督の義務付け
⑨エレベーター保守点検(建築基準法) … 1年に1回特定行政庁へ報告
【補足知識】単語の意味
(※1)両罰規定…作業者が行った違反行為について、本人とその所属法人に罰則が適用される規定
【理由and注意点】法定点検を怠っていた場合や事故事例
歌舞伎町雑居ビル火災(平成13年9月1日)明星56ビル
火災により44人が死亡し3名が負傷した事件で、ビル内での避難経路確保が不十分であったため被害が拡大したと考えられています。「自動火災報知設備の電源が切れている」「防火扉が閉まらない」「階段に荷物が置かれており、避難が出来ない」これらは全て消防法違反に当たります。また、この事件により、消防法が改正され事業者に対して、最高1億円の罰金が科されることとなりました。また、この規定は「両罰規定」(※1)とされており、大変重い罰則になります。
今回は、消防法に関して、記載をいたしましたが、それ以外でもエレベーター保守点検を怠っており、ワイヤーが切れてしまうような事故も過去に起きております。
経費削減という事で点検や、検査等を怠っていると、とても重い責任を負う可能性が高い為、必ず法定点検や、必要な検査を受ける必要があります。
【問題点】
①建物設備定期検査報告を行うのを忘れていて、督促が届いてしまった。どうすればよいのかわからない
②定期報告をする為に、捺印を忘れており、規定されていた3ヶ月の期限を過ぎてしまった。検査日をねつ造し、3ヶ月以内に検査を行ったかのようにしてしまった。
③検査を行って改善事項があるにも関わらず、改善等をせずに放置してしまっている。
建物修繕
【定義】建物修繕とは?
一般的に「建物」は、漠然と頑丈であるというイメージがありますが、常に雨水や強風、紫外線等にさらされており、日々少しずつ確実に劣化していきます。
そのため、特にマンションにおいては「長期修繕計画」や「大規模修繕工事」が適切に運用・実施されていることが非常に重要です。修繕等が適切に実施されておらず管理状況が悪い建物は、資産価値の低下が著しく所有者の不利益となってしまいます。
・建物修繕
建物や設備等について劣化が進行した部分を修繕するほか、新しい設備に入れ替えることで建物を一定の水準に戻す工事を行います。計画的に修繕し維持管理をすることで、より長期間にわたって安心して使用することが可能になります。
・建物補修
劣化や不具合が生じたとき、その使用に問題が無い程度に補修を行う工事になります。
漏水をコーキングの打ち替えで対応する場合や、破損個所の軽微な工事、ビスの止め替え等がこれにあたり、実際の不具合へ対処するための補修工事といえます。
例:水漏れが発生したため、コーキング等で塞ぐ
・建物改修
建築当初の設備よりもグレードアップさせて、資産価値の向上や、利用者の利便性と生活の質向上を目指す工事になります。
耐震性の高い建物へのアップデートや、警備システムの充実化、断熱性のアップやバリアフリー工事等により、さらなる利便性の向上に努め、維持をしていく工事になります。
【補足知識】単語の意味
(※1)長期修繕計画…分譲マンション等の維持管理の為に、新築時よりどのタイミングでどんな工事を行うかを協議し、管理組合が定める必要があるもの。長期修繕計画を元にして、大規模修繕が行われる
(※2)大規模修繕…基本的に新築から12年ごとに行っていく工事であり、足場等を組んで劣化状況の調査や、本格的な防水や塗装工事、ライフライン供給管の交換等も行う工事。
【理由and注意点】建物修繕を行う場合と行わなかった場合
・建物修繕を行う場合
設備は、常に新商品が開発され利便性が向上していくものであるため、建物修繕のタイミングで最新の設備を採用し、共用設備のアップデート、バリアフリー化、セキュリティの向上、耐震性の向上等を行うことにより、利便性・安全性が強化されます。
設備が充実した建物は、長期間にわたって入居を継続する利用者が多くなりますし、退去等が行われても、新しい入居者は決まりやすくなります。
また、適切な大規模修繕や改修工事を行っている場合、物件の価値も向上するため、売却をする際でも資産価値がある程度維持されます。
・修繕を行わない場合
建物の外壁や屋上防水には耐用年数が決まっています。これらの期間を経過しても利用自体は可能ですが、破損や汚損等の事故に繋がる可能性が高くなり、給排水管や電気設備の故障等が生じやすい状況となります。そのまま放置を続けると経年劣化による不具合が原因で汚水の逆流や天井からの雨漏り等が生じてしまうリスクが高まります。
そういったトラブルが発生してしまった場合、建物自体の価値も下がりますし、入居者がいる場合には早急な修繕対応が必要となります。万一、修繕をすぐに行うことが難しい場合には、入居者に退去をお願いし、修繕工事を実施しなければならないケースも起こり得ます。退去となれば相当の負担を入居者に強いるわけですから、すぐには受け入れられず対応が難しくなってしまうこともあります。建物をきちんと管理し適切に修繕を行わなかった所有者の責任を問われ、退去費用やその他物品購入費用について、所有者が負担することとなり、「適切に維持管理を行わなかった」ことで余計な時間やお金がかかってしまうことになるかもしれません。
【問題点】
①防水と外壁修繕を行っていなかった結果、雨漏りが発生してしまい、入居者が退去と引っ越し費用等の請求をされてしまった。
②外壁が傷んできて、物件の見た目が悪くなってしまったため、入居者からは家賃減額交渉がはいり、入居希望者の方には物件が汚れているため、入居したくないと言われ、空室が目立つようになってしまった。
③地震等が心配で大規模な修繕工事を行いたいが、賃借人に退去を促しても対応していただけず、工事が出来ない。
④ブレーカーが落ちることが多発していると、入居者から連絡がはいるが、原因が特定できず、調査費用が嵩んでしまっている。
敷金・原状回復・東京ルール
【定義】
・敷金とは
賃貸借契約締結の際、借主が貸主に対し預託する一定の金銭のこと。「保証金」とも呼ばれることがあります。2020年4月に改正された民法では、敷金を「いかなる名目によるかを問わず賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義し、明確化されました。敷金は、賃借人退去時に賃料の滞納、債務不履行等が無い場合に、清掃費が引かれて借主へ返還されることになっています。
・原状回復とは
賃貸借契約における原状回復とは、賃借人がアパートやマンションから退去する際、「自分が入居する前の状況に戻す」ことを意味します。
一般的に、賃借人の責任として、故意過失なく経年劣化で自然損耗した部分以外については賃借人の負担で元の状態に戻すことになります。
・建物改修
建築当初の設備よりもグレードアップさせて、資産価値の向上や、利用者の利便性と生活の質向上を目指す工事になります。
耐震性の高い建物へのアップデートや、警備システムの充実化、断熱性のアップやバリアフリー工事等により、さらなる利便性の向上に努め、維持をしていく工事になります。
【無過失・経年変化と判断されないものの具体例】
○油汚れを拭かないで放置してしまった場合
○飲み物をこぼしたが、掃除をせずにシミやカビを発生させてしまった場合
通常の利用法ではあっても「掃除を怠る、汚れを放置」のような場合には手入れを行う義務を放棄したとして、修繕費用が発生します。
【通常の経年変化・自然損耗と判断される具体例】
○冷蔵庫の黒ずみ
○ポスターの日焼け
○家具の置いた場所にできた床やカーペットのへこみ等
このような場合は、通常の利用で仕方なく生じた劣化・損耗とされ、修繕については賃貸人の負担になります。
【借主の過失とされ、修復責任を負うものの具体例】
○清掃を怠った個所の汚れや傷
○禁煙物件でのたばこのヤニ
○ペットのひっかき傷等
当然のことですが、貸室の設備や内装が耐用年数を経過し古い物件だからといって、どんな使用の仕方をしても責任を負う必要がないということにはなりません。
・東京ルールとは
東京都では「東京都都市整備局」がトラブル防止のためのガイドラインを公開しています。これは、東京都において2004年10月に施行された「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」に基づくガイドラインで、東京都内の住居に関する賃貸借契約に適用される基本的な考え方が明記されています。
これを「東京ルール」と呼びます。
東京都内で住居に関する賃貸借契約を締結する場合には、宅建業者が貸主借主双方に対し、この内容を説明しなければならないとされ、主な内容として【退去時の原状回復】【契約期間中の修繕】【特記事項の内容】を明確にすることなどが挙げられます。この「東京ルール」は、東京都以外の地域は適用の対象外となります。
★賃貸借契約における特約
賃貸借契約においては、貸主と借主の合意に基づき「特約」を設けることが可能です。
特約が付された契約を締結した場合、賃借人は、通常の範囲を超えて責任を負う場合があります。特約は次のような状況が整ったうえで設定する必要があります。
①特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観性、合理的理由があること
②賃借人が、特約により通常の原状回復義務を超えて修繕等の義務を負うことについて認識していること
③賃借人が、特約による義務の負担について意思表示をしていること
【特約の具体例】
○借主は、退去時にエアコン清掃費用10,000円を負担し清掃を行うものとする。
【理由and注意点】修繕等の負担割合と特約について
貸主と借主の間で、契約締結の際に原状回復に関する取り決めを行いますが、原状回復費用と経年劣化の関係も併せて考える必要があります。基本的に、物の価値は年数の経過によって減少しますので、長期間にわたって入居している借主については、その入居年数を考慮し負担割合を減少させることが認められております。
物品によって変わります。
【物品ごとの耐用年数例】
○クロス6年
〇流し台5年
○エアコン6年
○便器洗面台等の給排水設備15年
※故意過失で破損や汚損させた場合は賃借人が費用を支払う必要があります
【問題点】
①退去する際の請求で、自分で汚した、壊した覚えがない箇所が複数請求されてしまった(借主)
②設置してある物品(トイレ、キッチン、エアコン、その他)を利用していて壊してしまったが、自費で支払う必要があるのか(借主)
③入居者が故意過失で室内設備品を壊して、退去してしまったが、敷金無しの契約になっており、修繕費用でとても困っている。(貸主)
④入居交渉で敷金を無しにしてほしい交渉が入っているが、過去に退去トラブルがあったので、最低限敷金は預かっておきたいが、入居もしてほしいため困っている(貸主)
更新契約・賃料増額・減額トラブル(居住用)
【定義】更新契約・賃料増額・減額トラブル
・更新(合意更新)
賃貸借契約に定めた契約期間を満了し、当事者双方の合意によって契約を更新することです。更新後の契約期間に制限はありませんが、期間を1年未満とした場合には期間の定めがない(いつでも解約の申し入れが出来る)契約となるため注意が必要です。
・法定更新
賃貸借契約が自動的に継続し更新されることを法定更新と言います。
貸主と借主が契約期間終了までの間に、更新後の契約内容について折り合わなかった場合などに、それまでの契約内容と同じ条件で契約が更新されることになります。その場合の更新後の契約は、期間の定めのない「更新のない契約」になります。
※当初2年間で更新を行うとなっていた契約が法定更新となった場合、その後は2年の期間を更新していく契約とならず、更新料のない契約となります。
また、期間の定めがない(いつでも解約の申し入れが出来る)契約となりますので、注意が必要です。
・更新料
賃貸借契約を更新する際に、借主が貸主に対し支払う費用です。借主にとっては家賃とは別に支払うべき費用となるため、注意が必要です。
更新料は法律で義務付けられているものではなく、過去からの習慣で定められている費用で、更新料を設定しないのが当たり前の地域もあれば、2,3ヶ月分の賃料相当額を設定することが一般的な地域もあります。どちらにしても契約締結時に条件として取り決めをする事項となりますので、契約内容の確認は十分に行う必要があります。
・賃料増額・減額
賃貸借契約にかかる法律(借地借家法32条1項)では、賃料の増減請求が可能と定められています。具体的には『土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったとき』と要件が定められています。貸主または借主は、これにより賃料の増額や減額交渉を行うことが可能で、根拠を示して相手と交渉する必要があります。当然、一方的に相手方に対し要求をするだけでは交渉になりませんので、賃料の増額や減額の決定については双方の合意が必要となります。
【理由and注意点】
相手に対し一方的に「契約解除」を求めることが出来るのか
・普通賃貸借契約で借主の場合
→契約条項に期間内での「解約条項」があれば理由なく契約解除が可能です。
・更新をしたくない場合(法定更新・定期借家契約の場合)
→借主か貸主がどちらか一方が更新したくない場合に契約期間満了の1年前から6か月前までの間に「更新拒絶」通知を書面で送付する必要があります。
また、更新拒絶を行う際の要求では必ず「正当事由」が求められます。
⑴貸主自信が居住し営業する必要がある
⑵貸主の親族又は従業員が使用する場合
⑶やむを得ず生計の為に売却する必要がある
⑷貸家の大規模修繕あるいは取壊しの必要性がある
⑸貸主が立ち退き料を提供した申し出た時
上記のような場合に限り「解除」が可能となります。
そのため、更新料を支払いしないだけの理由で一方的な解除を行う事が出来ません。
上記とは別の理由で賃貸借の解除として「信頼関係破壊」等が考えられます。
⑴再三の督促にも関わらず家賃の支払い滞納を3ヶ月以上行った
⑵無断での転貸借・借地権譲渡による解除
⑶背信性と認めるに足りない特段の事情がある
ただし、「更新料の支払いをしない」「賃料の増加、減少を受け入れない」などの理由だけでは、賃貸借契約の解除や更新の拒絶を承認してもらう事は難しいと考えられます。
【問題点】
①合意更新という事で承諾をして、新しい契約書が送付されてきたが、内容を確認したところ、建て替えが決まった際の退去特約等が突然、了承なしに追加されていた
②更新料未納の借主に対し、問い合わせ、確認、書面での通知を行い支払請求しているが、「支払う」という回答後にも家賃しか入金されず、対応に困っている
③更新料を支払う理由がわからないため、支払いを行わずに無視していたところ、「信頼関係が破壊された」という事で退去を迫られてしまった
④更新の日付より数か月後に引っ越しをする予定が出来た。満額更新料を払う必要があるのはわかるが、相談にのってもらう事は可能だろうか?
⑤契約更新の際に、周りも値上げしているから「家賃交渉で賃料を値上げします」と言われてしまった。このまま値上げを受け入れなければいけないのか?
マンションの専有部分と共用部分
【定義】専有と共用の違いとは
一般的に区分所有法(マンション等の区分所有物に関する法律)に基づいて次のように取り扱われることが多い。
※マンション標準管理規約(国交省)記載による
①共用部分
専有部分に属さない「建物の部分」
玄関ホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、電気室、 機械室、パイプスペース、メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、 内外壁、界壁、床スラブ、基礎部分、バルコニー、ベランダ、屋上テラス、車庫等。
専有部分に属さない「建物の附属物」
エレベーター設備、電気設備、給排水衛生設備、ガス配管設備、火災警報設 備、インターネット通信設備、ケーブルテレビ設備、オートロック設備、宅配 ボックス、避雷設備、塔屋、集合郵便受箱、配線配管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手 及び立て管)等。
その他
管理事務室、管理用倉庫、集会室及びそれらの附属物
※区分所有法では「共用部分は区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。」と定めており、その共有持分は各共有者の有する専有部分の床面積割合によるものとしている。ただし、これらは管理規約により別段の定めをすることも可能である。
②専有部分
区分所有権の対象となる住戸部分をいう。また、 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分が専有部分とされ、玄関扉は錠及び内部塗装部分を専有部分とする場合が多い。
なお、窓枠及び窓ガラスは専有部分に含まれない。
※玄関扉自体やバルコニー等は共用部分とされている場合が多い。
③専用・専用使用部分
「共用部分」とされているものの、一部の人や限定された人のみに利用が認められている(管理規約等で定められている)部分のこと。区分所有法に根拠があるわけではなく、各マンションにより扱いが異なる。
主な該当箇所:バルコニー、専用庭、玄関扉、窓、トランクルーム等
維持、管理、補修等については居住者や利用者が行う必要があり、リフォームや撤去などの工事を行う場合は管理組合の許可が必要となる。
【理由and注意点】
・管理規約の確認
共用部分や専有部分について、区分所有法で定められているものもあるが、基本的に「管理規約」によって詳細が定められています。そのため、各マンション等の管理規約によって「自分の判断でできること」と「組合の許可や届出が必要なこと」と「できないこと」が決められています。以前、同じ系列のマンションに住んでいた際に大丈夫だったことでも、新居ではNGになっている場合等もあります。それは各マンションの管理組合が運営をしていく中で、規約の更新を行うためです。入居をする際には管理規約をしっかりと読んで確認し、ルールを守ることが大切です。
・共用部分の利用方法と維持管理について
先述のようにバルコニーは一般的に「専用使用部分」とされます。専有部分に含まれない理由として、バルコニーは避難経路に設定されていることが多く、火事等からの避難で利用されることが想定されていることが挙げられます。緊急時にバルコニーに大きな荷物が置かれている、もしくは移動出来ない工作物が設置されていることで、所有者自身や隣室所有者などが避難できない事態を避けるためです。
マンション等は各区分所有者が協力して維持管理運営を行っていく必要があるため、「区分所有法」が制定され、住んでいる方が快適に暮らせるようなルール作りをしています。マンションの維持管理を行うために「管理費」が、老朽化していく建物の修繕のために「積立修繕費」が必要となります。
維持管理をきちんと行っていなかったことで思わぬ事故が起き、大きな被害を受けてしまうことや、ルールを守っていれば生じなかった問題を抱えてしまう可能性があります。 また、専有部分と共用部分の違いを理解することにより、何か問題が発生した際に、おのずと解決方法やどこに相談すればよいのかがわかります。
【問題点】
①外に干した洗濯物等にタバコの臭いがついてしまい困っている、階下にお住いの方は面識がない為、どんな方法で注意すれば良いかわからない
②庭があることが気に入って購入したマンションでバーベキューを行ったら近くの人から注意を受けた。
③玄関前に荷物をずっと出している方がいて、非常に邪魔で困っている。ご近所トラブルは避けたいが、どうすればよいかわからない
④いつもゴミの分別が適当な人がいて、ゴミ回収をしてもらえない日がある。カラスも寄り気分が良くない
滞納トラブル
家賃を定められた期限までに納めないことを「滞納」と言います。滞納になれば、督促や催告により支払いを促されることになります。
なお、支払期日に1日でも遅れてしまうと滞納になってしまうため、期日前までに確実に支払いを行うようにしてください。
・滞納の督促行う場合の流れ
⑴家賃督促を行う(手紙、電話、メール、訪問等)
⑵保証人や連絡先、連帯保証人へ連絡を行う(電話、メール、手紙)
⑶内容証明にて催促(記録を残すため)
概ね3ヶ月以上の滞納で「信頼関係の破壊」という判断をされ、賃貸借契約の解除手続きが進められる場合が多いです。
【理由and注意点】
・信頼関係の破綻
賃貸人と賃借人の信頼関係が破綻してしまうと、賃貸人は賃借人に対し、締結済みの賃貸借契約を解除し、明渡し等を求めることが出来ます。賃借人が賃貸人から契約を解除されてしまう可能性がある行為には、次のようなものが挙げられます。
⑴無償譲渡や転貸
⑵賃料の滞納、更新料等の未納
⑶利用方法の乖離
⑷迷惑行為
賃借人にとって賃貸借契約の対象となる家屋(部屋)は、生活の基盤となる重要なものですから、賃借人は契約上、非常に手厚く保護されています。しかし、上記の行為や複数のトラブルを生じさせてしまえば、問題がある賃借人と判断され、賃貸人は契約を解除することも可能です。
賃貸人の立場で考えると、賃借人の1度だけの行為で「信頼関係が破壊された」という事を主張するのは非常に難しいところです。※犯罪行為は除く
賃借人の家賃滞納により「信頼関係が破壊された」と証明する場合には、状況と催促の記録を行い、どんな対応を行ったかを示す必要があります。
・家賃保証会社意義
家賃保証会社とは、賃借人が何らかの事情で家賃が払えなくなったときに、代理で貸主に家賃を支払い、後日、賃借人へ請求を行う会社になります。そのため、以前のように「連帯保証人を親族や親に頼む」ことなく、賃貸借契約を結ぶことが可能になりました。
・メリット(賃貸人)
⑴家賃滞納の心配をする必要がない
⑵保証会社が入ることで、賃借人の審査という意味でも安心度が増した
⑶保証会社によっては、家賃保証以外の保証が付けられる
・メリット(賃借人)
⑴連帯保証人を親族等に頼む必要がない
⑵収入が安定しない方も保証会社を通すことにより契約可能になった
・デメリット
⑴保証料といわれる初期費用や更新料、保証の手数料を支払う必要がある
⑵保証会社の審査で落ちてしまうと入居が難しい
⑶家賃の滞納や引き落としが出来なかった際に信用情報が傷ついてしまう場合がある
最近は、費用負担は必要となるものの、賃貸人と賃借人にとってメリットが大きいため、保証会社を利用した契約が非常に増えています。
万一の場合には、保証会社が賃借人の代わりに家賃を支払ってくれるため、賃料収入を見込む賃貸人の生活も安定します。また、賃借人への請求も保証会社が行うため、賃貸人にとっては時間も手間も軽減できます。賃貸人自身で明渡し請求や訴訟手続きを行おうとすれば、非常に手間や時間がかかります。保証会社には、そういった補償や滞納にも対応してくれる商品やプラン等も多くなっているため、その利用が増えています。
【問題点】
①保証会社の審査が通らなかったので、連帯保証人を付けて契約したが、家賃滞納されてしまった。連帯保証人にも連絡が一切つかず、滞納が続いている。
②2ヶ月間の家賃滞納後、催促したら遅れて1ヶ月分のみ支払われた。このまま滞納が続いていると困るが、退去の際に払ってくれるかは不明だ。泣き寝入りになってしまうのは困るため何とか解決したい
③知り合いの連帯保証人になったが、家賃を滞納しているとのことで、請求が来てしまった。一時的に立て替えるのは構わないが、継続してしまうと流石に困ってしまう。解決する方法を知りたい
④過去に借りていた賃貸物件で1度だけ家賃を滞納してしまった。引っ越しをしたいと思っているが保証会社の審査が通るか心配だ
退去・夜逃げトラブル
・退去立ち合い
賃貸借契約が終了する際、部屋から賃借人の私物を全て運び出した状況で、管理会社やオーナーと賃借人が一緒に部屋の確認を行うことです。通常、賃借人の最終退去日より前に日程を調整して行います。これは、賃借人の退去後に部屋の修繕、いわゆる「原状回復」を行う前に、どんな傷がどこにあり、賃借人が付けた傷であるのか、それ以外なのか、原状回復する必要があるのか等を確認する機会になります。
・夜逃げ
賃借人が正規の手続きを経ず夜中にこっそり逃げるように引越しをしてしまうこと、住民票の異動手続きを行わず、その住所からいなくなることを「夜逃げ」と呼びます。
夜逃げは、借金等の取立てから逃げるために行われる場合も多いですが、それ以外でもDVやストーカー、離婚トラブル等が原因で夜逃げせざるを得ないという状況の場合もあります。
賃貸住居からの夜逃げについては、「家賃が未納」「連絡が取れない」等の事態が発生し発覚することがほとんどで、明渡請求訴訟や保証会社とのやり取りが煩雑になり、賃貸人にとっては非常に手間と労力がかかります。また、賃借人が連帯保証人を立てて契約していた場合は、連帯保証人が債務を引受けることとなり、多大な迷惑をかけてしまいます。
【理由and注意点】
・汚れや傷の確認と対応
⑴入居者の故意・過失で生じた傷や故障などの補修請求箇所確定
⑵入居前から存在した傷や汚れの確認
⑶その他備品や設備について破損や修繕の状況を確認し、不具合が無いように修繕を依頼
入居の際(賃借人が部屋を使用する前)に、部屋がどんな状況なのかを賃借人と管理会社が写真で記録し、お互いの認識が相違しないようにしておくことが重要です。客観的に使用前と使用後の状況を確認できるよう記録しましょう。
また、入居後に設備の不具合が生じた場合、例えば、ゴムパッキンの劣化による水漏れが発生した場合などは、その程度によって多額の水道料金が請求される、漏水が浸透し床が腐る、下階まで漏水の影響が出てしまうなど、大きな問題となる可能性もあります。
入居中に異常を確認した場合には、管理会社へ連絡し状況の報告や共有を行うことにより、敷金トラブルや過大請求等のトラブルを避けることを心掛けましょう。
・自力救済の禁止
自力救済とは、自分の権利が侵害されている場合(家賃滞納や夜逃げ)に法の助けに依らず、自力で侵害状態を解消することです(滞納している部屋を貸せる状態にする)。
「私力の行使は、原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許される」(最判昭和40年12月7日)
上記判例があり例外的にその行使が認められていますが、賃貸人が賃借人の家賃滞納等で権利侵害を受けていたとしても、賃貸人が自らの一方的判断で私力を行使しようとすれば、各種法規に抵触してしまうことになりかねません。
・室内に勝手に侵入→プライバシー権侵害、住居侵入罪、窃盗罪の可能性
・鍵の勝手な交換→住居侵入罪、不動産侵奪罪
現に賃借人が賃料を滞納し債務が履行されず、賃貸人として権利を侵害されているからと言って、上記のような行為が認められてしまえば「やったもの勝ち」のような状態に陥り、秩序のある世の中が崩れてしまうため、そのような行為は禁止されています。
・建物明渡請求訴訟、強制執行
長期間の賃料滞納や部屋に賃貸人が不在で一切連絡が取れないという状況でも、勝手に部屋の鍵を交換すること、残置された荷物を処分することは禁止されています。
そのため、このような場合において賃貸人が行えることは、「建物明渡訴訟」を提起し法律に沿って対応することです。訴訟により明渡しの判決を得たうえで強制執行し、権利を回復するといった流れが必要になります。
○明け渡し訴訟の流れ
⑴家賃支払い通知を送付(督促)
⑵連帯保証人へ連絡(債務の履行を依頼)
⑶内容証明や督促、配達証明(記録が残る形で発送)
⑷契約の仮解除(暫定的に契約が終了)
⑸明渡訴訟(裁判)
⑹強制執行(執行官による強制的な手続き)
確かに、時間もお金も必要となりますが、正規の手続きを経ることにより不要なトラブルを避け、新たな賃借人へ部屋を貸すことが出来るようになります。
【問題点】
①賃借人から退去日の申請を頂いて、退去立ち合いの予定になっていたが、当日現地に現れず、連絡も取れなくなってしまった。未退去扱いになってしまい賃料請求、原状回復や鍵交換費用等の高額な請求をしなければいけなくなった
②退去立ち合いの際に、立ち合いを拒否して鍵を郵送にて返送希望したが、非常に高額な原状回復費用を請求された
③家賃の入金が無く、電話にも出ない入居者がおり、警察の立ち合いの元、室内に入ったが、もぬけの殻であった。今後の残置物処分や対応についてとても困っている
④賃料の滞納が3ヶ月を超え、内容証明や電話連絡、直接話をして早急に支払いを促しているが、連帯保証人や入居者も完全に拒否している。強制的に荷物を出して退去してもらうことは可能か
立退き案件
賃借人が賃貸借契約を締結している建物等から、退去を求められること
このとき、賃借人が退去を求められる立場ですから、当然その動機は賃貸人側にあることになります。ただし、賃貸人の希望で一方的に賃借人に退去を求めることができるわけではなく、賃貸人が賃借人に対して契約の更新を拒否したり、契約期間中に解約の申入れをしたりする場合には、建物の明渡しを求めるだけの「正当事由」が必要とされています。
※なお、賃借人側が契約違反を行い、退去を要求される場合も立退きとなります。
【理由and注意点】
・正当事由
基本的に土地・建物に関する賃貸借契約では、契約上で期間の定めがあっても、その契約が更新されることを前提としており、賃借人が長期間利用することが想定されています。賃借人にとっては生活の基盤を確保するための重大な契約ですから、賃借人保護は当然の考え方とも言えます。このため、賃貸人側に「正当事由」が無い場合には、賃借人への立退き要求が認められないことになっています。
「正当事由」としては、賃貸人本人がどうしてもその建物を使用する必要が生じた場合や、建物が老朽化し倒壊などの危険が高い場合などが挙げられます。
なお、立退き交渉の際に考慮されるものとして、下記の項目があります。
⑴建物の使用を必要事由
⑵賃貸借に関する経過
⑶建物の利用状況
⑷建物の現況
⑸財産上の給付(立退き料)
これらや双方の状況を比較し、その立退き要求が正当であるかどうか総合的に判断されます。そのため、「築年数が古いから解体して売却したい」や「大規模開発の地域で、賃借人がいなければ高く買ってもらえる」などの理由のみでは、立退き要求は出来ません。一般的には、立退きを要求する理由があり、尚且つ適切な立退料を支払うなどの対応をして退去を求めることになります。
このほか、「正当事由」はないけれど、どうしても賃借人に退去してもらいたい場合には、高額な立退き料を支払うことを条件に退去をお願いするという方法もあります。
・立退き料
賃貸借契約は基本的に更新が前提となっており、法定更新等の従前と同一条件で自動更新も可能です。そのため、賃貸人が賃借人に対して一方的に退去をお願いする場合に立ち退き料を支払う事がほぼ必須になります。※借主に重大な契約違反等が合った場合等は除く
○補填しなければいけない立ち退き料の項目
⑴引越料
⑵新規賃貸家賃差額
⑶新規物件取得経費
⑷移転雑費
⑸借地借家権の補償
⑹営業補償
⑺建物、造作等の買取
⑻有益費償還
⑼地縁、社会変化に対する補償
非常に多岐にわたる項目があり、賃借人の権利を保護するようになっていますが、総合的に見て妥当だと言える範囲の請求になります。
また、賃借人がルールを守らずに物件を利用しているような場合は減額されます。
例:無断転貸、家賃未納や滞納、申請用途外での利用等
【問題点】
①今住んでいる賃貸住居から2ヶ月以内に出て行ってほしいと賃貸人に言われた。とりあえず紹介された不動産業者に物件探しをお願いし、ある程度は希望に沿った物件を見つけることができたが、今より家賃が高い。賃貸人の都合で転居するのだから、いくらか金銭面の負担をお願いする交渉は可能か。
②築古の物件を借りるため賃貸借契約を結んだ。定期借家契約で契約の期限が決まっているが、場所が良くとても気に入っているので退去したくないと思っている。なんとかならないだろうか。
③普通賃貸借契約で「築年数の古い物件であり、また開発事業が行われる可能性もあるため契約更新が難しい場合がある」「建替え等を行うときは協力する」という内容が記載された更新契約を締結したが、この取り決めを守って必ず退去しなければいけないのか。